2021/07/11
今回はタミヤの1/35スケールプラモデル戦車を可動化させようと思います!
ARL44やMarkⅣで色々と詰まっており、作業が全然進んでいないため、リフレッシュ気分で作り始めました。前者2両はコントロール部分を複雑にしすぎたので、シンプルな機構で動作するプラモデル戦車のラジコン化を目指してみようと思います!
あと、今回はサスペンションを可動させてみる事にしました。ソフトウェア的にはシンプル、ハードウェア的には少し手を加える形です!
全体図
今回は以下のような構成で作成しようと思います。
一つずつ見て行こうと思います!
プラモデル本体
まず動かす母体となるプラモデルについてです。
プラモデルの本体は「タミヤ 1/35 ソビエト重戦車 KV-I 1941年型 初期生産車」です。2020年5月に発売されたキットで、現時点ではかなり新しいキットになります。
タミヤ旧KV-1は、シャーシがワンパーツで形成されていたが、今回の新KV-1は車体下部と側面が別のパーツで形成されています。
また、今回の新KV-1はスイングアームも別のパーツとして形成されているので、サスペンションの可動は簡単に出来ると思います!(この判断が甘かった。。。)
履帯
履帯(いわゆるキャタピラ)についてです。
今回使う履帯は、ゴム式では無く金属製の可動履帯「フリウルモデル 1/35 KV5/SMK用履帯 ATL-184」を使う事にしました。理由は手元にあったからです(雑)。確か以前にビーズホビーさんで購入した物だと思います。
本来は「フリウルモデル 1/35 KV-1/2 /1S / SU-152用履帯 ATL-10」を使った方が確実なのですが、値段も結構高く入手が大変そうだったので今回はコレで進めようと思います。
SMKはKV-1の前身となる2砲塔型の戦車で、それを単一砲塔にして車体を短くしたのがKV-1となります。KVシリーズ内でも転輪や履帯形状が細かく変わりますが履帯ピッチは変わらなかったはずなので、こちらも使えるはずです。
ギヤボックス
次は、戦車を動かすためのギヤボックスについてです。
動力のギヤボックスには「タミヤ ミニモーター標準ギヤボックス 8速」を使おうと思います。これを左右に2つ入れて動かしていきます!
元々は「タミヤのツインモーターギヤーボックス」を使おうと思っていたのですが、こちらだと都合が悪くなってしまったので途中から変更しました。理由は追って説明しようと思います。
コントローラ
ラジコン化するためのコントローラについて紹介します。
コントローラには「Perfk 送信機受信機セット」という商品を選んでみました。中国製の安い商品で、購入した時は790円(2019年1月当時)でした。27MHz帯のトイラジのコントローラ(モーターのON/OFF制御のみで、速度の調整が出来ないタイプ)で、DCモーター2CHを動かす事が出来ます。今回は左右の起動輪を動かすだけなので丁度良いです。
多分いまの時代、探せばもっとコストパフォーマンスの高いデジタルプロポとかありそうですが、そのへんの知識が無かったので今回は見送りました!
構成図
これらのパーツを組み合わせて、以下のような物を作成しようと思います!
色々と描いていますが、要するに左右の転輪が独立して前後に動くだけラジコンです。なので、今回のKV-1は砲塔旋回が出来ない仕様です。
モータの構成もシンプルに左右の転輪に対して、それぞれ別に動くギヤボックスを設ける方式で作ってみます。(走行用のモーターを一つにして、本物のKV-1同様に左右の履帯のクラッチを切って旋回させる機構を入れるという猛者もいますが、私の技量では出来ないのでこれで進めますw)。
本体の作成
では、早速作って行こうと思います!※内容がこちらの記事と一部被っています。
説明書に沿って、車体を作成していきました。先ほども記載しましたが、旧タミヤのKV-1とは異なり、車体は一体形成ではないため下部、側面は別々に取り付けました。
次は足回りの作成です。このランナーは、履帯やトーションバーサスペンションのスイングアームが付いています。こちらのキットはゴム履帯は付属しないようです。
こちらのランナーは、転輪や起動輪などが付いています。これらを使って足回りを作成していきます。
転輪に使う主要なパーツを並べてみました。
・1:外側の転輪(裏と表)
・2:内側の転輪(裏と表)
・3:転輪の外側に取り付ける緩衝器のカバー
・4:トーションバーサスペンションのスイングアーム
・5:タミヤのポリキャップ(小)
です。
5番のポリキャップ(小)についてですが、転輪を回転させるために使う物です。別の1/48スケールのキットの余りを持ってきたのですが、色々と問題がありました。こちらについては後で詳しく説明します。
トーションバーサスペンションについて
では、早速作成していこうと思うのですが、その前にKV-1の足回りについて簡単に解説させて下さい。
実際のKV-1はいわゆる「トーションバーサスペンション」という足回りが使われていました。※以下トーションバーサスペンションの動作イメージです。
— おりくらしげる (@shigeruorikura) April 23, 2020
これは、金属の棒(トーションバー)の端に「スイングアーム」と呼ばれる、円弧を描いて転輪を動かすアームを取り付けて、逆端を車体に固定する事で成り立つシンプルな機構です。この金属の棒がねじれる時に発生する反発力を利用して、地面から受ける衝撃を吸収するサスペンションとして動作させています。
※”Stalin’s Giants: The Kv-I and Kv-II“より、破壊されたKV-2のトーションバーが見える。
この構造は簡単かつ強固な作りに出来るため、その後の戦車に多様されました。近代的な戦車の多くがトーションバーサスペンションを用いています。
この辺の話を書くにあたって「戦車サスペンション百科」という素晴らしい同人誌を参考にさせて頂きました。さらに深く知りたい方は是非読んでみて下さい。
トーションバーサスペンションの作成
では今回「工作」部分の作業で一番大変そうなトーションバーサスペンション周りを作って行こうと思います!
トーションバーの選定
これを戦車のプラモデルでも再現させるために、様々な方法があります。
今回は0.6mmのピアノ線を用いる事にしました。ピアノ線を用いてサスペンションを作成するのはプラモデル戦車の可動化界隈では有名な方法なのですが、今までやった事がありませんでした。
やりたい事をGIFにしてみました。こんな感じで切ったり削ったりしてサスペンションを実現してみようと思います!
車体側の加工
続いて、車体側の加工を行います。
タミヤのKV-1は、スイングアームの位置を固定できるようにするため「出っ張り」が付いています。スイングアームの裏側に小さな穴が空いており、そこに引っ掛けて固定してサスペンション位置の均衡を保つようにしています。
今回は本物の戦車のようにサスペンションを動かしたいので、「出っ張り」を全て切り落としました。切り落とした部分はヤスリで削って平らにしました。
ピアノ線で作成したトーションバーサスペンションを通すため穴を開ける必要があります。ピンバイスを使ってφ1.0の穴を中央に開けました。ピアノ線は0.6mmなので、それより大きければ問題ないと思うのですが今回は余裕をもって1.0mmにしました。
スイングアームとトーションバーの加工
次はスイングアームとトーションバーの作成です。
最終的にこの図のような形にしたいと思います。真横から見た図なので、トーションバー部分が分かり辛いかも知れませんが、作業した時の画像と共に説明して行こうと思います。
まず、ピアノ線を曲げてトーションバーを作成します。0.6mmのピアノ線を良い具合の長さに切りペンチを使って曲げ加工しました。
ピアノ線を普通に曲げようとすると曲面が緩やかになってしまいます。直角に曲げるためにはピアノ線の片方をペンチでギチギチに挟んで、マイナスドライバー等の金属を曲げる側の根本に押し当てて曲げると綺麗な直角を作る事が出来ます。
スイングアームは内側の穴(車体側)を1.0mmのピンバイスで無理やり広げてトーションバーの「引っかかり」部分を作りました。この部分が無い状態で直接ピアノ線を取り付けようとしても、上手く働かずに滑ってしまう恐れがあるためこのような構造にしました。
また、スイングアームにピアノ線を固定する際には「タミヤ瞬間接着剤(高強度タイプ)」を使いました。タミヤの接着剤には色々種類がありますが、金属類とプラを付ける時はこれをよく使います。慣れるまでに時間がかかるので取り扱いには注意です。
最終的にこのような形になりました。車体側の固定には「タミヤ 楽しい工作シリーズ プラ材 3mm H形棒」を切って上から被せています。※メンテナンス性を考えてH形棒を使いましたが、結局これごと瞬間接着剤で車体に接着したので、なくても良かったかも知れません…
転輪の取り付け
説明の順番が若干前後しているのですが、転輪を取り付けるためには転輪が外れないようにするための仕組みが必要です。
で、タミヤのポリキャップ(小)を取り付けて転輪を作成する事は可能なのですが、仮で外側の転輪を付けるとスムーズに回らないという問題が発生しました。これは、転輪の内側とポリキャップ(小)のサイズがぴったり過ぎて、内部に余裕が無い為だと思います。転輪がスムーズに回ってくれないと、折角ラジコン化しているのに見た目が良くないです。
このままでは仕方ないので、別の方法を考える事にしました。まず、最初に考えたのが「タミヤ 透明プラ材3mmパイプ」を短く切ってポリキャップ(小)の変わりに使う方法です。試してみた所、画像の通りスカスカになってしまい「転輪を外れないようにする」という事が出来ませんでした。
(この時は思いつかなかったのですが、今になって100均で売っている自転車用の虫ゴムを代用すれば良かったかな?と思っていますw今後同じような場面に出くわしたら試してみたいです。)
今回はポリキャップ(小)の端をカッターで切ってサイズを小さくして対応しました。最初は転輪側の穴をドリルの刃で広げるという事も考えたのですが、転輪の数だけ穴を広げるのは手間がかかるという事で見送りました。
ちょっと見辛いかも知れませんが、このような形になりました。
ここでまた別の問題が…手元にあるポリキャップ(小)の数が少なかったという問題のせいで、転輪の数(KV-1の転輪は片側6個、左右で合計12個)分足りないという問題が発生しました。仕方ないのでポリキャップ(小)を縦に切って数を増やしました(暴挙)。
最終的にこのような形になりました!左側がポリキャップ(小)で右側がタミヤ 透明プラ材3mmパイプです。右側のタミヤ 透明プラ材3mmパイプは、転輪がすっぽ抜けてしまった時に、転輪内部の空間にポリキャップ(小)が落ちて向きが変わり「二度と転輪が取り付けられない」という残念な事態を防ぐためです。
あとは、転輪の裏と表を接着剤で取り付けて完成です。これで転輪がスムーズに回転するはずです!
※実際に動かしている様子です。
タミヤの新KV-1(1/35スケール)に0.6mmピアノ線トーションバー入れてみました
❗買った時は素の状態で組む予定だったのですが、スイングアームが別パーツだったのでつい加工を始めてしまったのです(^q^)
加工するのが結構大変ですが、作業するのは楽しいですね
にやにやした顔pic.twitter.com/DcMHOrqIQI— おりくらしげる (@shigeruorikura) April 23, 2020
Twitterのツイート時点では、前部転輪の左右2つだけ取り付けている時点の動画です。この時写真を撮るのを忘れて黙々と作業をしてしまったので、途中経過の写真がありませんでした。
画像を見てもらうとわかりますが、後はひたすら同じ作業を転輪分繰り返すだけです。
可動戦車の顔は砲塔では無く足回りだと思っているので仕方無いのですが、物凄い手間がかかりました( ´ᾥ` )
一応「シンプルな機構で動作するプラモデル戦車のラジコン化」を目標していたはずなのに結局全然シンプルじゃ無い感がありますが、コントローラの部分はとてもシンプルなのでこれからは楽になるはずです!(フラグ)
さいごに
という訳で今回はKV-1の記事でした!
久しぶりにこの手の記事を書いた気がします。非常に疲れますねw。夏休みにブログを更新できるかと思ったのですが、この記事だけでかなりの時間を取られてしまいましたw
軽い気持ちで書き始めましたが、一発目でこの重さ…その2はいつになる事やら…
今日はこれで終わりです!また何かあれば記事を更新しようと思います!ではでは~